経理業務 決算開示書類の開示方法についてふれていきます

経理

こんにちは。9/27に、私の会社では有価証券報告書という決算の開示資料を提出しました。
今回の記事では、経理業務において提出する開示資料について、ITシステム面に重点を置いて解説していきたいと思います。
意外と一般のサイトでは触れられていないような事柄にも、触れていけるかと思います。

以前の記事でも少し言及しましたが、経理業務では決算において、半期報告書・四半期報告書・有価証券報告書といった開示資料を提出するのが最終目的といえます。

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それら「○○報告書」というメインの書類を、1ヵ月以上とかになる結構な時間をかけて作成・公開するわけですが、その前に速報版として決算短信という書類も開示します。
以下、それら各書類の特色・違いに留意しながら、開示資料を提出する業務について述べていきます。

はじめに:金融商品取引法による開示書類については、まとめます

先述の「○○報告書」という開示資料は金融商品取引法という法律が根拠となっていますが、これらには以下の3つがあります。

有価証券報告書→期末決算日の決算における開示書類。

四半期報告書→期末決算日以外の四半期の決算における開示書類。上場会社は提出必須。

半期報告書→3月決算の会社なら9月というように、期末の6ヶ月後の決算における開示書類。非上場会社で、四半期報告書を提出しない有価証券報告書提出会社が、提出必須。

これら3つの開示資料については共通の事項が多いですし、以下では特に区別する必要がある場合を除いては「有価証券報告書等」という言葉で一まとめにして取り扱いたいと思います。

各書類の違い・簡易一覧

まず、開示資料の「有価証券報告書等」と「決算短信」について、違いなどを一覧表にまとめます。
この表は、内容が堅苦しいですし形式的に載せただけのものなので、読み飛ばして全然かまいません。

決算短信 有価証券報告書等
根拠法令等 証券取引所の適時開示ルール(自主規制) 金融商品取引法 第24条(書類ごとに、第24条の5など分かれる)
提出期限 決算日から45日以内(四半期報告書よりある程度前) 決算日から、四半期報告書は45日以内、有価証券報告書は3ヶ月以内
提出先 証券取引所 金融庁
システム TDNET(東京証券取引所の運営する適時開示情報伝達システム) EDINET(金融庁の電子情報開示システム)
閲覧方法 TDNET適時開示情報閲覧サービス EDINET

各書類の共通事項

決算短信にせよ有価証券報告書等にせよ、だいたいの構成が決まっていて、また公認会計士により審査を受ける部分というのが決まっています。
逆に言えば審査を受けなくて良い部分というのもあり、そういった箇所については会計士のチェックがどの程度なされるのか、会社によって異なるところでしょう。

これら書類の書き方や、各種数値指標の計算方法などについて、分厚い冊子の手引きがあります。PRONEXUS WORKS(後述)の会員なら、その冊子をPDFでダウンロードすることができます。
もちろんそんな分厚い本を丸ごと読み込むなんて、よほど専門にしてる人でないと無理なので、重要な箇所について探し拾いながら読んでいくことになります。
開示すべき事項も、会計方針の変更とかでコロコロ変わるのですが、そういったことについても手引きには掲載されています。なかなか手早くそれを見つけて有効活用することが出来ていないんですがね。

決算短信について

先述のように、四半期報告書とか有価証券報告書というものは提出までに長く時間がかかるので、その前に速報版として「決算短信」を提出します。
しかしこれ、速報版というのが建前ですが、速報版といえるかは非常に疑わしいものがあります。

まず決算短信は、速報版とはいっても、数値の精度などが粗くて良いということではありません。決算短信で180と書いていたものを、計算結果がちょっと変わったから有価証券報告書では200と書き直して提出するなどという事は、原則としてやってはいけないことです。
本当にミスにより訂正することはあり得ますが、そのときはそれを事細かに別途報告の上、訂正報告という書類を仰々しく提出することになるでしょう(会社によっては、それをしなくても良かったりするのかもしれないが)。

また各書類の違いについての表で「提出期限」欄を見ていただければ分かりますが、期末決算においては、決算短信の提出期限(決算日から45日以内)と有価証券報告書の提出期限(決算日から3ヶ月以内)との間に1ヶ月以上もの間隔があります。

それ以外の四半期決算においては、決算短信と四半期報告書の提出期限に差が明確に設けられていません。実際、決算短信を提出してからたった3日後に四半期報告書を提出することもあり、これで速報版と言うのはちょっと無理があると思います。手間が二重に増えているだけです。

四半期報告書についても、なにも四半期ごとなんて短期間ごとに提出する必要があるのかなど、見直しの動きが色々と進んでいる・・・はずです。そういう報道は一応あります。

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有価証券報告書等について

決算短信は速報版ですが、有価証券報告書等には、決算短信には書かなくて良いことも、色々と書かなければなりません。
有価証券報告書という名前であっても、別に有価証券の事だけが書かれているわけではありません。貸借対照表や損益計算書を含む、会社の数値・業績や今後の見通しなどについて全般的に書きますし、いろいろな会社の業績について知りたいのならまず有価証券報告書を読むとよいでしょう。

こういった開示資料は、まず間違いなく各企業は自社のHPに掲載しています。
たとえばソフトバンクグループの開示資料はこちらに掲載されています。

業績・財務 | IR情報 | ソフトバンクグループ株式会社 | ソフトバンクグループ
ソフトバンク株式会社の「業績・財務」についてご紹介いたします。

どこの企業HPを見るにせよ「IR情報」「投資家情報」とかいう場所を探せば、だいたい見つかるでしょう。

PRONEXUS WORKS

決算短信にせよ有価証券報告書等にせよ、作成する際の有名なツールがPRONEXUS WORKSです。
会員になりIDパスワードを発行してもらわないと詳細は見られないサイトなので、あまり深い内容を公開するわけにもいかないでしょうが、無難な範囲で紹介していきます。

PRONEXUS WORKSでの開示資料作成ページは上図のような感じで、Excelとかに似せリボンを使ったUIになっています。
作成マニュアルとかもありますが、基本的には各社で自社に合ったやり方を引き継ぎながら進めているのかと思います。

このPRONEXUS WORKSでは、図を1つ作成して挿入するだけでも、Wordで作成した図をクループ化するなど色々ややこしいことをしなければなりません(手引きに忠実に従えばの話ですが)。
目次の作成なんかも、Wordだったら見出しを設定しておけばページ番号を自動的に目次に挿入できますが、PRONEXUS WORKSにおいてはページ番号は手作業で目次に書いていかないといけません。どこのページを1ページ目としてカウントするかも注意が必要ですし、こういった手作業はしなくても良いようにしてほしいものですね。

このPRONEXUS WORKSを使って作成すれば、今年の数値として入力したデータは翌年には、「前年分」のデータとして自動的に引き継がれるようになります。
また決算短信と有価証券報告書等は、内容の重複する部分も多いので、共にこのPRONEXUS WORKSで作成すれば、共通するデータは相互共有することができます。そういったデータ連携の機能は結構そろっていますね。

決算短信の開示

ところで、決算短信というのは最初の2ページくらいは「サマリ」と呼ばれる表紙の部分となっています。

ソフトバンクグループの短信の最初の1ページが上図のような感じですが、これもサマリという部分です。

決算短信も作成ツールはPRONEXUS WORKSを使うのですが、この「サマリ」については別にTDNETの作成ツールを使って作成します(文字にリンクを貼ってますが、アクセスしてもクライアント証明書がないとエラーになるはずです)。

決算短信の本文の部分をPRONEXUS WORKSで、サマリをTDNETで作成して、それらをTDNETの方に集約して提出することになります。
この提出システムも、電子証明書とかを一々求められ、電子証明書が古い方がかえって処理が上手くいったりします。どうもこの辺、まだまだシステム整備が追いついていない気がします。

決算短信の提出は、「15時に提出」などと、時間指定して予約提出することになります。その予約した時間になったと同時にすぐ確認したければ、適時開示情報閲覧サービスで見られるようになります。

もっとも、多くの会社が同時刻に予約アップロードしているので、自分の会社の分を見つけるのは案外面倒くさいです。

有価証券報告書等の開示

有価証券報告書等については、PRONEXUS WORKSで作成したデータを、EDINET提出用ページにて処理してアップロードし開示することになります。

決算短信がTDNETで、有価証券報告書等がEDINET。ややこしいですが、こういうシステムの使い分けをします。

このEDINETを使った開示は、TDNETでの決算短信開示とは異なり、時間指定予約の開示はできません。開示する最終決定ボタンを押したら、その場でリアルタイムで開示され、取り返しが効きません。

そして、EDINETから開示された有価証券報告書等をすぐ確認するには、EDINET閲覧用ページを使うと良いです。
先述の適時開示情報閲覧サービスは、開示されたばかりの決算短信を即確認する以外の用途で使ったことは私はありませんが、こちらのEDINET閲覧用ページは、有価証券報告書をはじめとする諸開示書類を検索するのに普通に使えます(決算短信は探せません)。

画面上部に「書類検索」というボタンがあり、詳細は省略しますがここから条件を色々と細かく指定して開示資料の検索ができます。

訂正報告書について

粉飾決算だとか、あるいは計算間違い等により、開示資料の内容に著しい誤りがあった場合は、その開示書類について訂正報告書といった書類を出すことがあります。ソフトバンクグループでも、訂正報告書を何度か出していますね

私の会社も何度か訂正報告書を出したことがあるのですが(何度も出してちゃいけないんだけど)、訂正前と訂正後でどのように変わっているかを事細かに書かなければならなくて、とても書くのが難しいです。
普通の決算短信や有価証券報告書等については、書き方の手引きがあるのですが、この訂正報告書にはこれといった手引き等がなく、作成手順が非常に分かりにくいのです。場合によってはWordとかを使って、手作業ばかりで作成することになります。

決算短信と有価証券報告書等は、内容がけっこう重複・リンクしているので、間違いがあったら両方に及ぶことが多いです。そしてその場合は、両方の書類を訂正報告としてアップロードする必要があり、非常に時間がかかります。
そして具体的な金額まではよく分かりませんが、この訂正報告をアップロードさせてもらうのには、結構な費用を払わなければいけないようです。当然といえば当然ですが、こんな訂正報告なんて作らないで済むようにしたいものです。